平川仁 山浦正敬
山が大きく滑った。
幅約900メートル、最大落差150メートル。斜面を走っていた道が途切れ、ちぎれた白いガードレールが垂れ下がる。
15年前の2008年6月14日午前8時43分。東日本大震災の2年9月前だった。岩手・宮城内陸地震で栗駒山麓(さんろく)の一帯が襲われた。最大震度6強の揺れで、地滑りや土砂崩れがいたるところで起き、23人が犠牲になった。
「荒砥沢(あらとざわ)崩落地」(宮城県栗原市)は国内最大級の地滑りで、希少な「災害遺構」として、国や地元が保全を図る。発生から15年続いた立ち入り制限の緩和に向け、東北大学の研究者らが地盤状況などを確認する「地質巡検」に入った。記者が同行すると、自然の力で山が切り裂かれた跡が広がっていた。
遠くからしか望めなかった場所は
車を降りて、林の中の脇道に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル